ローズマリーにラベンダー、そしてミントにカモミール……。
近ごろはハーブの苗が花屋や専門店ばかりでなく、ホームセンターにも並び、日に日にポピュラーになってきました。けれども、十数年前はまだ珍しい植物のジャンルで、そう簡単に入手できるものはなかったのです。今でも懐かしく思い出すのは、1985年の春にあるテレビ番組に初出演したときのことです。ディレクターとの打ち合わせで、私が研究している「香り草」をどのような名称で紹介するかという相談になりました。それまではパセリやセロリを「香味野菜」として取り上げてきたそうですが、私はぜひ「ハーブ」という言葉を使ってほしいと力説しました。なぜなら香味野菜では、ハーブの利用法のごく一部分しか表していないからです。
ハーブとは、「暮らしに役立つ風味や香りのある植物の総称」で、種類も利用法も多岐にわたっています。もともとは古くから薬用として用いられてきた植物が多く、Herb（ハーブ）の語源は、ラテン語で草を意味するHerba（ヘルバ）に由来しています。今では料理やハーブティー、ポプリ、入浴剤、染色、クラフト、美容などに幅広く用いられ、ハーブのある暮らしをエンジョイしている人々も、世界的に多くなっている傾向にあるようです。
この本は、初めての方でもハーブを上手に育て、楽しく利用できるようにと、心を込めてつくりました。特に栽培のページは、私のこれまでの経験を盛り込んでわかりやすく解説してあります。どうぞ、この本をテキストに、すこしずつ実習（スタディ）してみてください。きっと、小さな双葉に胸が躍り、初めての花にほおずりしたくなることでしょう。育てることから得られる喜びの大きさを学んだとき、あなたはハーブの優等生になっているはずです。
《 目次 》
・ハーブを育てる
・ハーブのある食卓
・暮らしのなかのハーブ
・育ててみたいハーブ
・エッセイ
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