ハーブ・バラエティー
「育てる・味わう・彩る」





herba…herb…ハーブ

 私がハーブを育てはじめたのは二十数年も前のことでした。当時は、ハーブという言葉を知っている人さえほとんどなく、すべてが手探りで、苗や種子を探すのにも随分と苦労しました。
 しかし今日、通信販売で百種を超える苗が入手できるようになったばかりでなく、各地に愛好者が増えているのは、なんとうれしいことでしょう。
 さて、この「ハーブ」ですが、長い歴史の中で、時代背景や使用目的によって、その意味はさまざまに変わってきました。辞典に、「草木」「薬草」「香草」「風味用植物」などとあるのが、いい例です。
 ハーブは、英語のherbの日本語読みですが、この語は「草本」「植物」を意味するラテン語のherbaが語源とされています。ですから本来は、草という意味だったのでしょう。
 中世には、ハーブは主に薬効のある植物、つまり薬草を指していたようです。これらの薬草のなかには、今日私たちがハーブとして扱う植物の多くが含まれています。しかし、一般の人々が安易にハーブで治療行為などを行うべきでない、と私は思います。有毒な植物があるうえに、用法や容量によっては危険をともなうばかりでなく、何よりも専門家に任せるべき分野だからです。
 ところで、こうした中世の薬草のなかでも、往時の人々が獣肉類や魚介類の防腐や臭み消しなどの目的で使いはじめた、危険性がない植物群は、しだいに香辛・香味料として料理に用いられるようになり、現代まで引き継がれてきました。いま、単にハーブといった場合、料理をおいしくするための風味植物、香草を指すのは、こうした背景からです。
 一方、今日の私たちが楽しむハーブには、「生活に役立つ」という一面もあります。料理や飲み物に使うのはもちろん、浴湯料、ポプリ、染色、香りのクラフト、あるいは園芸的な楽しみなど、さまざまに利用されるのです。
 家庭をあずかる主婦の私にとって、ハーブは「暮らしに役立ち、ゆとりと潤いをもたらす香りのある植物」といえましょう。
 ハーブと私びすてきな関係は、今後もいっそう深まりこそすれ薄れることはないと信じています。



 《 目次 》
香草の庭へ
ハーブ・バラエティー50種
ハーブのある暮らし





著書:
発行所:朝日新聞社
価格: \1785円 (税込)
size:26 (cm) 
ページ数:127p

ハーブ・バラエティー
「育てる・味わう・彩る」

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