時計を見ると4時半・・・。
もう小鳥たちは、それぞれの言葉で朝の挨拶を交わしている。
身支度をして階下に降り、庭へのガラス戸を開けた。朝露に濡れたサンダルが、
素足にひんやりとここちよい。
空を仰ぐと、珍しく雲ひとつ無い。これまで雨が多かったが、久しぶりの快晴になりそう。
足にまとわりつく猫をお供に、庭の隅々まで見て回るのが「私の幸せタイム」なのだ。
一晩中芳香を放っていたオシロイバナはまだ寝ぼけているのか、かすかに香っている。
通路まで延びた露草の青は何と深い色だろう。
バラのアーチをくぐるときは要注意だ。 前の日に蜘蛛の巣を箒ではらったはずなのに、働き者の蜘蛛たちは1晩で修復を完了している。うっかりして、蜘蛛の巣に顔を突っ込んではたいへんたいへん・・・・・・。
庭の隅にホテイアオイやショウブが影を落とす小さな池がある。
長い尾びれをひらひらさせて寄ってくるコメットに餌を与え、眺めているうちにあたりがすっかり明るくなった。朝の清らかな空気が心身ともにリセットしてくれるのだろうか、とても気分がよい。

さぁ、今日は何が採れるかな?
天候不順だった今年は、トマトが例年よりも成績がよくなかった。
しかし、苦瓜とズッキーニは毎日食べきれないほどの収穫で、2人暮らしにはもてあます日もある。1個、2個ずつ収穫して回るうちに、かごからあふれるほどの量になった。
色も形も違うナスが数種類に、トウガラシもたくさん採れた。ハバネロが色づいてきたが、世界一辛いと言われているこのトウガラシをどうしたものか。
辛い料理が好きな友人の顔が、ちらちらする。素敵なバスケットに入れて、あの方へ届けようかな。それよりアメリカの大学の研究室へレポートをしなければ・・・・・・。



庭からの贈り物は、収穫物だけではない。
庭に出るだけで、緑の力に癒されるのだろうか、まず気もちが晴れ晴れする。
不思議なことに、」少しぐらいの体調不良でも、庭を一回りするうちにいつのまにか忘れてしうのだ。
また、植物の成長とともに、物事を1年先、5年先のスパンで考えるようになったのも、精神衛生によいようだ。後を振り返ってくよくよするより、これからの楽しいイメージを胸に描くほうが、わくわくしてくる。特に実のなる木の数々は、これからの暮らしに大きな喜びをもたらしてくれるだろう。
今、庭では房スグリ、ブルーベリー、ブラックベリー、アンズ、イチジク、プラム、プルーン、ポメロ、レモン、甘夏、シ―クァサー、四季生りライム、オリーブ、マカダミアンナッツ、フェィジョア、リンゴ、ブドウ、などが、元気に育っている。
つぼみがついたといっては喜び、ヒヨドリに花を食べられてしまってがっかりし、一喜一憂の毎日だが、「趣味の園芸」は、どんなことでも、面白い。
天気になれば素直に喜び、雨が降れば天の神様に感謝し、植物の気持ちになっている自分にときどき驚くことがある。

夢中になれることがあって、本当によかった。
息子たちもそれぞれ元気に暮らし、夫も仕事に張り切っている。
考えて見れば、今が一番幸せなときかもしれない







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