香りの花束

五月の朝に

 はじめまして。私、です。
 今私のハーブガーデンは一年中で最も美しい季節を迎えようとしています。小さな小さな庭ですけれど、花ざかりのハーブをお目にかけたいと思います。
 この淡いピンクの小花をたくさんつけているのがタイムです。
 青紫色をしたあの花をセイジといいまうs。銀色っぽい葉っぱの、そう、それです。
 びん詰めになって売られているドライのセイジは、もともとこういう形をしているんです。ほんの少し葉っぱをちぎっただけでも、ね、かなり強い香りでしょう?
 それから、マーガレットの赤ちゃんみたいな花、これがカモミール。甘酸っぱいりんごの匂いがすると思いません?白い花びらをそり返らせて、おすまししているみらいでしょう?だから、アメリカやローロッパの家庭では、グッドナイトティとしてよく飲まれているんですって。

 あの青い花亜麻(リナム)は、午後になるとすっかり花びらが散って、地面を青く染めるんです。毎朝一輪ずつ花を開いていくのがほんとうに可愛くて、私は朝の仕事が終わるとすぐにここへ来てしまいます。
 あの黄色いパラソルのような花がフェンネル、よく似ているけれど丈の低い方がディル。どちらもなつかしい香りでしょう。
 キアゲハが止まっている淡いグリーンのブッシュは、ルウ。エリザベス朝のイギリスでは、魔除けの花束に、なくてはならないものだったと聞いていますが、こちらのローズマリーも、悪魔を退散させる効きめがあるんですって。
よく女の人の名前につけられているローズマリーは、ブルーの小さな花。この花をつまんで、食べてごらんなさい。フレッシュな香りがして甘いでしょう?花の蜜が入っているからなんですよ。この花にはすてきな言い伝えもありますから、あとでお楽しみにね。
 六月になったら早咲きのラベンダーが咲き始めるんです。あの青い星形の花がッボリジ、つやつやした葉っぱがミント、地面を緑色でカバーしているのがオレガノ。そのキンセンカもマリーゴールドといって立派なハーブです。
 まだまだたくさんのハーブを説明したいのですが、あまり多すぎてもおぼえきれないでしょうから、ひとまずこのぐらいにしておきましょうか。
 それより、ここへ来てちょっとしゃがんでみて。そしてそっと目を閉じてみてください。
 ねえ、こうしてお陽さまを背に受けてハーブの繁みの中にいると、どんなにいい気持ちかわかるでしょう?いろいろなハーブが朝の光の中で匂いたち、混じり合って何ともいえない香りがしていますね。

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ハーブガーデンからこんにちは より 抜粋 ----


 《 目次 》
第1章 ハーブガーデンからこんにちは
第2章 咲かせてみましたラベンダーの花を
第3章 せい子流ハーブの育て方
第4章 ハーブのある暮らし
第5章 グルメ気分で


著書:
発行所:講談社
価格: \1300円 (税別)
size:20 (cm) 
ページ数:217p

香りの花束


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